毎年年末になると、鏡餅を買ってきて飾っている人がほとんどだと思います。
しかし、鏡餅の飾りや台の意味や置く場所や由来などを全て理解している人は、どれくらいいるのでしょうか?
まあ今の世の中では、鏡餅に限らず何でも意味や歴史を理解して使ったり買ったりするよりも大事なことはあります。
例えば、パソコンやスマホの仕組みを理解するよりも使いこなす方が大事だったりします。
けれども、長い間続いていて恐らくはこれからも続いていくであろう習慣などは、しっかり理解をしておいて子供や孫に伝えていくという義務はあると思います。
という事で、鏡餅について色々とまとめてみました。
鏡餅の飾りや台の意味は何ですか?一番上はみかん?
一般的な鏡餅の飾りとその意味は以下の通りです。
三方(さんぽう)鏡餅を乗せる台。尊い相手に物を差し上げる時には台に乗せるのが礼儀である事から使用。
橙 子孫が代々繁栄するという語呂合わせの縁起物。実のヘタに台が2つあるのでだいだいと命名。一度実がなると青い実が冬になって赤味を帯び黄色に熟しても翌夏にはまた緑色の生まれたてのような実に戻る。4~5年以上は落果しないと言われ家族繁栄と長寿のしるしとされる。健康長寿の家族に見立てて家系代々の長寿や繁栄を願う。
裏白 常緑の歯朶(しだ)の事。表面は緑色だが裏面は白い事から心に裏が無い事や清廉潔白意味する。白髪になるまでの長寿を願う。
歯は、齢(よわい)年齢を示す。朶は枝を意味。齢を伸ばす事に引っかけ長寿を意味。
裏白は、古い葉が落ちずに新しい葉が重なって出来る。橙と同じように家系代々久しく栄える事を示す。葉の模様が対になって生えているので夫婦仲むつまじく相性の良い事を願う。
扇・末広 扇はその形からすえひろとも呼ばれ先に向って開いている。末長く繁栄していく事の願い。
四方紅 お供え物をのせる色紙で、四方を紅で縁取ることで天地四方を拝し災を払う。四方に大きく手を広げ一年の繁栄を祈願。紅白の赤い色は魔除けの意味。
昆布 昆布の事を広布(ひろめ)と言った。広布は広めるの意味。蝦夷(えぞ)で取れるので夷子布(えびすめ)と呼ばれた。えびすめは七福神の恵比寿に掛け福が授かる意味。昆布は、喜ぶのこぶと子供が生まれるの子生の意味。
串柿 柿は縁起の良い長寿の木。 幸せをカキ集める嘉来の語呂合わせ。 柿は外側2個ずつ内側6個串に刺して外はにこにこ、中(仲)睦まじくの語呂合わせ。
海老 海老は腰が曲がっている事から長寿を意味する。甲羅の形状が鎧兜を連想させ武運長久を祈る。
譲葉 親が子を育てて家が代々続くように。
熨斗鮑 伊勢神宮に奉納される縁起物。
鏡餅の上に載せるのは正式には橙です。みかんに似ていてミカン科の果物です。橙(橙色だいだいいろ、オレンジ色)のだいだいです。
餅の下の大きいのは太陽でアマテラスオオミカミです。(姉)上の小さいのが月でツキヨミノミコトです。(弟)この二神が日本の国をつくって代々繁栄したのでダイダイを乗せるとも言われています。
みかんで代用する場合もありますが、本来は橙という果実を使います。
鏡餅の場所の意味とは?
一般的な風習では鏡餅は、床の間や玄関に大きい鏡餅を供えます。それよりも小さな鏡餅を、お仏壇や神棚や台所やその他の大事な場所にも供えるます。
床の間の無い家庭では、リビングやダイニングの机や棚が中心となります。食と火も大切な場所ですのでお供えします。子供達の勉強机や仕事の机等も大切な場所になります。
古来より年神様は、家の中の各場所に分霊(ぶんれい)されると信じられてきました。そこで、トイレも含め全ての部屋や場所に鏡餅をお供えする風習もあります。
トイレ等の不浄な場所にはお供えしないという考え方もありますが、逆に年神様が宿られることで清められるという考え方もあります。
鏡餅の意味や由来は?
古来、神前には円形の鏡を祀るのが日本の礼式でした。奈良時代の頃から鏡餅は神前の捧げ物として用いられていたようです。日本人の文化に古くから根付いていた鏡餅は、やがて正月飾りとしては欠かす事が出来なくなったのです。
鏡餅が現在のような形式になったのは、家に床の間が作られ始めた室町時代以降の事です。
武家では、床の間に具足(甲冑)を飾りその前に鏡餅を供えました。鏡餅には、譲葉・熨斗鮑・海老・昆布・橙などを載せるのが通例となり具足餅(武家餅)と呼ばれました。
元々は、歳をとる事は人々に歓迎されていました。正月に神様は、全ての人や物に新しい生命を与えるために現れると伝えられています。
歳をとるという事は、一年に一度新たに生まれ変わるという事なのです。
そして、歳神様の霊力を頂く手段が鏡餅でした。
この鏡餅をお供えし食べる事によって、新しい生命を歳神様に頂くことが出来るのです。
年齢を言う時に満何歳数え何歳と言いますが、この数えはここから来ているのではないかと思います。
鏡餅は神様が食べる物であり、お正月中の魔を跳ね返す鏡の意味と飾り物の意味の両方あります。正月の飾りつけは、神様をもてなし喜ばせ御機嫌を取る意味もあります。
餅は、年神様(歳神様)へのお供え物です。お正月の間は、年神様が鏡餅に宿られるとされていました。餅は満月の夜の晴の日の食物であり、食べると力が与えられると考えられていました。
満月の事を望月(もちづき)と言い、餅はその丸い形から家庭円満を象徴し縁起物としてお正月に飾るようになりました。
神様の宿る鏡も丸い形をしていますが、お供えするお餅を鏡餅と呼んだのはここからきています。
まとめ
神様にお供えする為にという事は、何となく誰でも理解しています。
しかし、そこには古くからの生活習慣や単なる語呂合わせだとしても、先人達の深い願いが込められていました。
年末年始には、このような習慣が多く集まっています。